2018 年 16 巻 2 号 p. 79-88
目的:Prader-Willi症候群と診断された子どもの保護者と担任とのコミュニケーションの実態を明らかにする。
方法:調査対象は現在4歳から15歳のPWS児の保護者で、担任との関係に関する無記名自記式質問紙調査を実施した。調査期間は2016年5月~10月末日であった。調査内容はPWS児の基本属性、児の担任とのコミュニケーションの経験やその内容とした。
結果:PWS児20名の保護者から回答を得た。担任に相談したいと思った経験を保護者19名中16名(84%)が、担任とコミュニケーションがうまくいかないと感じた経験を保護者16名中8名(50%)が、担任に言いたいけれど言えない経験を保護者18名中7名(39%)がしていた。担任に知ってほしいPWS特性は「認知の偏り」、「身体的特徴」、「不適応行動の理由」であった。保護者は担任に我が子を「理解してほしい」、「認めてほしい」という思いをもっていた。
考察:特別な支援を必要とする児にとって、保護者と担任の連携は必要で、そのために両者間のコミュニケーションが重要となる。今回の結果では担任とのコミュニケーションに戸惑う経験をした保護者は約半数おり、保護者と担任間の認識の「ズレ」が原因の一つと考えられた。両者間に生じた「ズレ」は保護者の教育への参画を妨げ、児への適切な支援を妨げる可能性をもつ。しかし、これまで障害のある子どもを育ててきた保護者と担任との間に「ズレ」が生じることは当然とも思われ、双方が当然起こり得る「ズレ」を自覚しながら、共に繰り返しコミュニケーションを図る努力が必要と考える。また、保護者は担任にPWS特性の理解を望み、家庭に限らず家庭外でも一貫した対応を期待する一方で、PWSではなく一人の人として見てほしいという思いももっており、それは尊厳を支える支援につながると考える。