日本遺伝看護学会誌
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研究報告
神経難病領域における遺伝看護実践のための学習課題に関する質的研究
中込 さと子柊中 智恵子須坂 洋子西條 竜也
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2018 年 16 巻 2 号 p. 68-78

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抄録

目的:神経難病領域での看護職者の遺伝看護ケアの現状を通して、神経難病における遺伝看護ケア上の課題を明確にすることにより、神経難病領域の遺伝看護教育の学習課題を検討する。

方法:神経難病領域に従事する看護職者で、かつ看護系学協会が認定する資格を有する看護師にFocus Group Interview(以下、FGI)への参加を依頼した。16名が研究参加に同意し、3名から7名に分かれてFGIを3回実施した。データは質的内容分析法によって分析した。

結果:3回のFGIを通して、神経難病領域に従事する看護職者の医療現場の現状63項目を抽出した。そこから14項目の遺伝看護ケア上の課題が明らかになり、最終的に4つの学習課題にまとめられた。神経難病領域での遺伝看護実践能力を向上させるために取り組むべき学習課題は、①遺伝学的診断時の初期対応、②当事者が抱えていることの理解、 ③長期在宅療養における社会資源の活用と多職種連携、④遺伝看護学の基礎知識の向上、であることが分かった。

考察:神経難病領域に従事する看護職者は、医学診断より前に、家系員に症状が顕れて遺伝性疾患に気づく初期の段階での対応が求められている。また当事者が深く悩み始め、遺伝学的知識を自発的に求めるまでの期間に寄り添うことがある。さらに長期在宅療養をサポートするために多彩なニーズに応える役割があり、その基盤としての遺伝学と倫理調整方法について継続教育が保証される必要があると考えられる。

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