2020 年 4 巻 1 号 p. 61-68
本研究の目的は、高齢者救急に係る地域包括ケア現場の課題の構造を明らかにし、課題解決に向けた方略の示唆を得ることである。神戸市で地域包括ケアに携わる31機関、216名を対象に、半構造化面接かフォーカスグループインタビューを実施し質的に分析した。1)人生の最終段階の医療やケアに関する本人の意向の不在、2)ACP推進の障壁(医療・ケア専門職)、3)心身の状況や意向に関する情報共有手段の未確立、4)救急医療、地域・在宅医療、介護の連携の不足、5)住民参画の議論と地域のサポート資源が不充分、の5つおよび19サブカテゴリーが抽出された。また、これらの解決への取組みの提案として1)日本型ACPのあり方の検討および定義・方法論・評価法等の確立、2)心身の状況や意向に関する有効な情報共有の方法や仕組みの確立、3)救急医療・プライマリケア・介護の連携による望まない、不要不急の救急搬送や入院の削減、4)住民と共に考え、よりよい社会を指向する仕組みの構築および文化の醸成があげられた。