【背景】我が国は、災害発生大国であり、被災者だけでなく、消防隊員を含めた災害救援者の心的ケアの重要性が指摘されている。また、近年、多死社会が進んでおり、救急医療において消防隊員は、死生に関連する現場に遭遇しやすい。しかし、その心理的ストレスの現況は十分明らかとなっていない。【目的】死生に関連する緊急的な臨床現場における消防隊員の心的ケアの必要性と心的ストレス状況について明らかにする。【方法】調査票を用いた横断研究。【結果・考察】死生に関連する緊急的な臨床現場における心的ケアの必要性について、消防隊員の約90%が、心的ケアの必要性が「ある」と回答していた。最も心的ストレスが高いと感じる現場は「殺人や自殺」だが、最も心的ケアが必要と感じるのは「同僚の死傷体験」であった。【結語】死生に関連する緊急的な臨床現場において、多大なストレスを受ける消防隊員の日頃からの継続的なストレス軽減対策が必要である。