2025 年 8 巻 1.2 号 p. 89-95
【目的および方法】心停止患者におけるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の普及状況と、ACPで得られた事前指示(AD)が医療行為に与えた影響につき調査するため、当院へ搬送された検死例を除く心停止患者83例に対して後方視的に検討した。【結果】ACPは83例中30例に実施され、ACP実施群は高齢で(p=0.014)、施設入所者(p<0.01)に多かった。在宅では超高齢者、基礎疾患のある患者などに実施されていた。DNAR(do not attempt resuscitation)のAD情報が搬入前にわかれば心肺蘇生を終了できたが、11例で情報が入手できなかった。【結語】超高齢者や基礎疾患のある患者、施設入所者などにはACPは現実的なものと捉えられていた可能性が考えられた。基礎疾患のない人や独居高齢者へのACP実施に課題が残り、搬送前にADの情報がわかるような取り組みも必要と考えられた。