抄録
下咽頭癌は初診時既に進行していることが多く,予後不良の疾患である。患者のQOLを考え,進行度に応じて機能温存を考慮した治療が必要である。当院では喉頭温存手術が困難な症例に対しては手術とCRTの両者を提示している。化学放射線療法(CRT)では胃瘻や気管切開への長期依存を余儀なくされることがあり,機能温存が達成されないこともある。治療後の機能や合併症,再発時の対応,重複癌に対する治療などを十分考慮して手術,CRTの適応を検討する必要がある。CRTでは胃瘻を用いた栄養管理とオピオイドを用いた疼痛対策などをはじめとする支持療法によって治療完遂率を高め,粘膜炎の遷延や腎障害を予防している。