抄録
近年,早期のみならず進行喉頭癌に対しても局所制御と喉頭温存を両立させる治療法として,化学放射線療法の有用性が示されている。欧米では多施設共同ランダム化比較試験の結果より,生存率を低下させることなく,喉頭温存率を向上させるという目的から,進行喉頭癌の標準的治療法として化学放射線療法が推奨されている。しかしながら,最近,化学放射線療法による嚥下障害や誤嚥といった晩発性の有害事象や再発に対する救済手術の合併症が問題となっている。喉頭癌症例では,化学放射線療法および喉頭温存手術それぞれの合併症,後遺症および予後についてインフォームドコンセントを行い,治療法を決定する必要がある。