抄録
副甲状腺腫瘍は比較的まれな疾患であるが,血清カルシウム高値で発見される無症候性副甲状腺機能亢進症例や,検診や人間ドックでの超音波検査から偶発的に発見される副甲状腺腫瘍例が近年増加している。今回,過去10年間に当科で施行された副甲状腺手術症例18例について,術前検査の部位診断的中率,病理学的診断,術前・術後の血中インタクト副甲状腺ホルモン(intact PTH),カルシウム(Ca),リン(P)の変化を解析した。また術後合併症の一つであるhungry bone syndrome合併の予測因子についても検討した。その結果,術前検査として超音波,CT,MIBIシンチが有用な検査であることが推測され,血中ALP高値がhungry bone syndrome合併の予測因子として示唆された。