頭頸部外科
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21 巻, 3 号
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原著
  • 成尾 一彦, 山中 敏彰, 細井 裕司
    2012 年21 巻3 号 p. 203-208
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    視診所見は悪性所見に乏しかった外耳道腺様嚢胞癌例を経験した。軟骨部外耳道のびらんのみであったが約1年間頑固な耳痛が継続し近医で外耳炎として加療されるも改善がなかったため当院初診時より悪性疾患を念頭におき精査加療を行った。腺様嚢胞癌の診断で耳下腺の一部を含め軟骨部外耳道と骨部外耳道の一部を切除し(外耳道部分切除術),術後に放射線治療(強調変調放射線治療)を施行した。腫瘍の増殖能を反映し悪性度と関連するというKi-67 labeling indexが診断の一助となった。1990年以降の本邦報告例で文献的考察を行った。長期予後は必ずしも良好でないため適切な初回治療と長期の経過観察が必要である。
  • 飯沼 智久, 上久保 出, 高橋 直樹
    2012 年21 巻3 号 p. 209-212
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    Giant cell reparative granulomaは全身に発生する非腫瘍性の線維性巨細胞病変である。特に上顎,下顎骨の発生が多い。病理学的に類似した疾患が多く,疫学や好発部位など疾患の特徴を認識していないと診断が難しい。文献的考察を加え1症例を報告した。症例は41歳の男性で右の頬部腫脹を主訴とし来院。画像では右上顎洞から頬部,眼窩内へ突出する腫瘤を認め,悪性腫瘍を疑わせたが下鼻道からの生検によりGiant cell reparative granulomaと診断。外科的切除,術後に局所ステロイド注入を行い良好な経過をたどった。
  • 木谷 卓史, 高橋 宏尚, 田口 亜紀, 脇坂 浩之, 暁 清文
    2012 年21 巻3 号 p. 213-216
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    腎細胞癌の頭頸部領域への単独転移は1%以下とされており比較的まれである。今回われわれは鼻出血を契機に受診し,その際認められた鼻腔腫瘍を生検し,腎細胞癌の診断に至った1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。症例は61歳男性。2009年4月より左鼻出血が続くため,5月上旬に近医を受診。左中鼻道に易出血性腫瘤が認められ生検を施行した結果,淡明細胞癌であった。精査加療目的にて5月下旬に当科初診し全身検索を行ったところ,右腎腫瘍が認められ,腎癌の鼻腔転移と診断。6月下旬内視鏡下に鼻腔腫瘍摘出術を施行し,8月初旬泌尿器科にて後腹膜鏡下根治的右腎摘除術施行した。現在再発なく外来にて経過観察中である。
  • 積山 幸祐, 黒野 祐一
    2012 年21 巻3 号 p. 217-221
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    外傷性視神経症の発生機序は単一でなく,その障害の程度も一様でなく受傷時の損傷の程度が強ければ,回復が難しいこともある。今回われわれは船舶作業中に8メートルの高さから転落して受傷した視神経管骨折症例を経験した。受傷の翌日に視力低下を自覚し,左眼対光反射の減弱と左眼視力低下(手動弁),CTで左視神経管骨折を認めたことから外傷性視神経管症の診断で同日,内視鏡下視神経管開放術を施行した。視力は術直後から指数弁となり最終的には裸眼視力0.3に改善したが,完全回復には至らなかった。手術適応,時期に関しての統一的な見解はないが,決して同一でない個々の症例に早期にかつ適切に対応していくことが重要と考えられた。
  • 朝子 幹也, 小椋 学, 河本 光平, 大岡 久司, 濱田 聡子, 馬場 一泰, 島野 卓史, 村田 英之, 友田 幸一
    2012 年21 巻3 号 p. 223-227
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    上顎洞血瘤腫は臨床病名で,しばしば骨破壊を伴って巨大化し画像上も悪性腫瘍との鑑別が困難な事も多々ある。病気の本態も種々の意見があるものの,明確でない部分も多くある。われわれは反対側の上顎洞に達する超巨大な上顎洞血瘤腫を経験し,鼻内から内視鏡下に摘出し得た。手術は,出血時の対応を勘案し,鼻外法が選択される報告も多くある。しかし,血瘤腫は固形腫瘍ではないので,手術に従い内部の組織を減量する事ができる。従って術中の出血がコントロールされていれば, 巨大な血瘤腫でも鼻内法で十分切除が可能であると考える。術前にある程度診断がついている事が肝要であるが,整容面を考えても鼻内法が良い適応であると思われる。
  • 鈴木 真輔, 本田 耕平, 石川 和夫
    2012 年21 巻3 号 p. 229-233
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    副咽頭間隙腫瘍は比較的まれな疾患であるが,その解剖学的複雑さと組織学的多様性から術前の診断や治療の選択に苦慮することがある。今回われわれは当科を受診し手術加療を行った副咽頭間隙腫瘍15例を対象に,その部位から茎突前区と茎突後区に分類し検討を行った。病理組織学的内訳は多形腺腫7例,神経鞘腫3例,基底細胞腺腫2例,骨化性線維粘液性腫瘍1例,腺癌2例であった。手術アプローチは,経頸部法11例,経頸部耳下腺法4例であった。神経鞘腫はいずれも茎突後区であり,術後永続的な神経脱落症状が生じた。茎突後区の腫瘍は神経原性腫瘍の可能性が高く,手術の適応には患者の症状や生活背景を考慮した慎重な対応が必要と考えられた。
  • 犬塚 恵美子, 加藤 久幸, 岡田 達佳, 油井 健宏, 浦野 誠, 櫻井 一生, 内藤 健晴
    2012 年21 巻3 号 p. 235-239
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    口腔底類皮嚢胞は比較的まれな疾患であり,顎舌骨筋と嚢胞との位置関係により舌下型,オトガイ下型,舌下―オトガイ下型の3種類に分類される。術前診断の際には他の頸部嚢胞性疾患との鑑別が必要であり,主に超音波検査,CT,MRIが用いられる。しかしながら,舌骨近傍に発生した場合は正中頸嚢胞などとの鑑別が困難となることがある。
    症例は19歳男性で3か月前からのオトガイ下腫脹を主訴に受診した。画像診断で類皮嚢胞に典型的な所見を呈さず,確定診断に至らなかった。頸部外切開法にて腫瘤を摘出し,病理検査および術中所見から舌下型類皮嚢胞と診断した。口腔底周囲に発生する頸部嚢胞性疾患の画像診断的特徴についての考察を加え報告する。
  • 卯月 彩, 嶋根 俊和, 秋山 理央, 林 武史, 池田 賢一郎, 五味渕 寛, 小林 斉, 三邉 武幸
    2012 年21 巻3 号 p. 241-245
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌は頸部リンパ節転移が多く認められ,この転移巣による物理的な頸動脈圧迫で失神発作(頸動脈洞過敏症候群:Carotid Sinus Hypersensitivity Syndrome以下CSHS)を起こすことは報告されているが,ほとんどは末期癌患者であり初発症状として失神発作を起こした症例は少ない。
    今回,われわれは頻回の失神発作を初発症状とした,上咽頭癌の頸部リンパ節転移の症例を経験した。術前にペースメーカーを挿入していたため,手術治療を選択し頸部郭清術を施行したところ失神発作は消失した。
    CSHSは,頸動脈反射が何らかの原因で過敏反応を示す場合をいう。頸部リンパ節転移が原因のCSHSの治療には,手術・化学放射線同時併用療法・薬物療法などが挙げられる。頸部リンパ節転移を認める症例は進行癌が多いため,治療の選択肢を広げるためにもペースメーカー挿入を積極的に行うべきであると考えられた。
  • 坂東 伸幸, 後藤 孝
    2012 年21 巻3 号 p. 247-253
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    頭頸部領域において悪性黒色腫は鼻・副鼻腔に発生することが多く,上咽頭原発はまれである。今回われわれはまれな上咽頭原発悪性黒色腫例を2度の手術と放射線療法,化学療法を組み合わせて治療し,良好な結果を得たので報告する。症例は60歳男性,2か月前から鼻出血を繰り返したため,平成22年3月に当科を初診した。上咽頭に黒褐色の腫瘍と鼻腔後方,中咽頭に粘膜病変を認めた。上顎部分切除に加えて上咽頭腫瘍摘出術を施行し,その後,篩骨洞天蓋の病変に対し,前頭蓋底手術を施行した。さらにDAV療法合計5クールと放射線照射合計50Gyを施行した。術後16か月経過するが肉眼的に病変は見られず,遠隔転移も認めていない。
  • ―頸部気管を栄養する血管系の温存と気管孔の状態について―
    三浦 弘規, 鎌田 信悦, 多田 雄一郎, 増淵 達夫, 中村 成弘, 伏見 千宙, 丸屋 信一郎, 坂下 智博, 門馬 勉, 永藤 裕, ...
    2012 年21 巻3 号 p. 255-258
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    下咽頭喉頭全摘頸部食道切除(咽喉食摘術)に施行される気管傍の郭清では,気管軟骨壊死をおこさないように,気管の虚血には細心の注意をはらう必要がある。われわれは下甲状腺動脈から,あるいは上甲状腺動脈から甲状腺を介した気管への血流の,左右4系列いずれかを温存することをこころがけている。この手技によって郭清の質を落とすことなく,安全な気管孔の作製をすることが両立しえた。この手技は特殊な技術を必要とせず,気管孔の管理・狭窄予防に有用であり,QOLの向上に寄与すると考えられた。
  • 石川 幸伸, 増淵 達夫, 相川 倫, 多田 雄一郎, 三浦 弘規, 鎌田 信悦
    2012 年21 巻3 号 p. 259-264
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    Provox2®による代用音声をより明瞭にする発声方法の一工夫について報告する。対象は遊離空腸再建を施行された2例で,異なる3パターンの発声方法で会話能力の評価,空気力学的パラメーター,発声時内視鏡所見について比較検討し,日常生活の使用満足度についての聴取も行った。3パターンの中で今回報告する新発声法で会話能力の評価,声の強さ,呼気流率が向上しており,日常生活上での満足度も高かった。結果,遊離空腸再建例において新発声法は有用な発声方法であると考えられた。
  • 小村 豪, 菅澤 正, 松村 聡子, 高城 文彦, 盛田 恵, 中平 光彦
    2012 年21 巻3 号 p. 265-270
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    体幹臓器を原発とする悪性腫瘍の頭頸部領域転移は,その大部分は遠隔転移扱いとされ,予後不良である。今回,われわれは自験例35例の臨床的検討を行ったので報告する。原発部位は3例以上が肺10例,乳腺6例,腎4例,胸部食道3例であった。初診時未治療例は23例,治療後再発例が12例であった。頸部リンパ節転移が28例,その他頭頸部転移が13例16箇所に存在した。頭頸部転移が判明した時点で15例22臓器にその他部位にも転移を認めた。
    5例で外科切除が行われていた。これら頭頸部領域転移例について外科切除を必要とする場合はまれではあるが存在し,その適応の判断については症例毎に検討していく必要があると考えられた。
  • 河本 愛, 日高 浩史, 野口 直哉, 織田 一葉, 宮崎 真紀子, 小林 俊光
    2012 年21 巻3 号 p. 271-274
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    頸部膿瘍の病態の検討を行うため,2008年8月~2010年7月までの2年間に当科で外科的ドレナージを行った頸部膿瘍38例と同時期の扁桃周囲膿瘍38例について年齢,性別,膿瘍存在部位,喫煙率,原因,検出菌などについて比較検討し報告する。性別は両群とも男性に多く,扁桃周囲膿瘍では20~30代,頸部膿瘍では小児と50歳以上に多い傾向を認めた。喫煙率は両群で高い傾向を認めた。部位は側索咽後部,顎下部に多く,側索咽後膿瘍では広範囲に病変が進展する例を多く認めた。原因は成人では咽頭炎,齲歯が,小児ではリンパ節炎が多く,禁煙や,口腔内環境を清潔に保つことが扁桃周囲膿瘍,頸部膿瘍の予防につながると考えられた。
  • 森川 太洋, 成田 憲彦, 二之宮 貴裕, 徳永 貴広, 扇和 弘, 鈴木 弟, 齊藤 寛, 山本 英之, 木村 有一, 藤枝 重治
    2012 年21 巻3 号 p. 275-280
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    副甲状腺腫瘍は比較的まれな疾患であるが,血清カルシウム高値で発見される無症候性副甲状腺機能亢進症例や,検診や人間ドックでの超音波検査から偶発的に発見される副甲状腺腫瘍例が近年増加している。今回,過去10年間に当科で施行された副甲状腺手術症例18例について,術前検査の部位診断的中率,病理学的診断,術前・術後の血中インタクト副甲状腺ホルモン(intact PTH),カルシウム(Ca),リン(P)の変化を解析した。また術後合併症の一つであるhungry bone syndrome合併の予測因子についても検討した。その結果,術前検査として超音波,CT,MIBIシンチが有用な検査であることが推測され,血中ALP高値がhungry bone syndrome合併の予測因子として示唆された。
  • 細野 研二, 赤羽 誉, 岡本 倫朋, 谷口 由希子, 今泉 宏哲, 大嶋 正人
    2012 年21 巻3 号 p. 281-285
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    甲状舌管嚢胞は胎生期の甲状舌管遺残より生じる先天性疾患であるが,まれに甲状舌管癌を合併する。今回,甲状舌管と甲状腺に同時に乳頭癌を認めたまれな症例を経験した。症例は51歳男性,人間ドッグで左頸部腫瘤を指摘され,当科受診となった。画像検査で甲状腺内に複数の腫瘤とI,左VI領域にリンパ節腫脹,また舌骨前方にも腫瘤を認め,リンパ節からの穿刺細胞診で乳頭癌が疑われたため,甲状腺全摘出術,左D2a郭清術と同時にSistrunk法での摘出術を行った。術後病理で甲状腺内だけでなく甲状舌管内にも乳頭癌を認め,MIB-1免疫染色を行ったところ,重複癌の可能性が考えられた。文献的考察を加え報告する。
  • 四宮 弘隆, 岩江 信法, 平山 裕次, 手島 直則
    2012 年21 巻3 号 p. 287-290
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    要旨:超高齢者の皮膚自壊を伴う耳下腺ワルチン腫瘍を経験したので報告する。症例は98歳男性。十数年前から耳下部腫瘤で,ワルチン腫瘍の診断をうけ,高齢であることから経過観察となっていた。その後近医で度々腫瘍内貯留液の穿刺吸引を施行された。穿刺部位から広範な皮膚自壊をきたし,手術希望で再診した。
    皮膚自壊をおこすワルチン腫瘍の報告例はまれである。腫瘍の増大,皮膚外傷,腫瘍の感染,低栄養状態等が複合的に重なることで発生すると考えられる。悪性との鑑別や治療方針を慎重に検討する必要があると思われた。
  • 永島 義久, 濱島 有喜, 伊地知 圭, 村上 信五
    2012 年21 巻3 号 p. 291-295
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    術前に耳下腺多形腺腫が疑われ,術中に顔面神経鞘腫と判明した症例を報告する。症例は40歳女性,MRIおよび穿刺吸引細胞診にて多形腺腫と診断され,摘出手術を施行するも術中に顔面神経本幹から発生した顔面神経鞘腫と判明したため,顔面神経刺激装置を用いてモニタリング下に腫瘍の被膜内摘出術を行った。顔面神経本幹に近い部分では腫瘍は神経との境界が不明瞭であったため,術後の麻痺を危惧して亜全摘摘出に留めた。術後,極軽度の麻痺が生じたが,3か月で完治した。神経鞘腫に対しては被膜外摘出術も施行されるが,術後顔面神経麻痺を引き起こす可能性が高く,術前に麻痺を認めない症例の手術においては,被膜内に腫瘍を摘出して神経温存することが推奨される。
  • 二之宮 貴裕, 成田 憲彦, 森川 太洋, 山本 英之, 徳永 貴広, 齊藤 寛, 木村 有一, 藤枝 重治
    2012 年21 巻3 号 p. 297-301
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    当科で1983年4月から2009年12月までに手術を行った腺様嚢胞癌23例(男性12例,女性11例)について検討した。初診時の年齢は28歳から80歳であり,平均64.1歳であった。原発巣は耳下腺7例,顎下腺5例,口腔5例,上顎洞2例,上咽頭2例,中咽頭1例,気管1例であった。対象症例全体の累積10年生存率は69.7%であり,無病生存率は32.9%であった。組織亜型では充実型において生存率,無病生存率が低い傾向にあった。術後放射線療法は,生存率に有意差は認めなかったが,局所制御率を改善させる可能性が示唆された。予防的頸部郭清術は頸部リンパ節再発を制御可能であるが,肺などの遠隔転移により,長期的には予後に影響しない可能性が考えられる。
  • 菊地 大介, 松塚 崇, 野本 幸男, 國井 美羽, 西條 聡, 大森 孝一
    2012 年21 巻3 号 p. 303-306
    発行日: 2012/02/28
    公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    当科で2006年1月から2010年12月の間に頭頸部領域再建術後にICUで鎮静された41例を対象とし,過活動型せん妄の発症率と術後鎮静時間やせん妄原因因子との関係を調べた。術後せん妄ありは25例,術後せん妄なしは16例であった。術後せん妄と年齢,手術時間,電解質異常,ベンゾジアゼピン系誘導体との間に関連は認めなかった。H2ブロッカー使用率は術後せん妄あり群が96%,せん妄なし群が68%で,有意な差を認めた(p < 0.05)。術後鎮静時間は術後せん妄あり群が46時間,術後せん妄なし群が31時間で,有意な差を認めた(P < 0.05)。鎮静薬による臓器への負荷,鎮静時間の延長による覚醒遅延,人工呼吸器による身体的ストレスなどが鎮静によるせん妄の原因として考えられ,今後鎮静時間の短縮が必要である。
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