頭頸部外科
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原著
耳下腺多形腺腫の診断にて手術を施行し,術中に顔面神経鞘腫と判明した症例
永島 義久濱島 有喜伊地知 圭村上 信五
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2012 年 21 巻 3 号 p. 291-295

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抄録
術前に耳下腺多形腺腫が疑われ,術中に顔面神経鞘腫と判明した症例を報告する。症例は40歳女性,MRIおよび穿刺吸引細胞診にて多形腺腫と診断され,摘出手術を施行するも術中に顔面神経本幹から発生した顔面神経鞘腫と判明したため,顔面神経刺激装置を用いてモニタリング下に腫瘍の被膜内摘出術を行った。顔面神経本幹に近い部分では腫瘍は神経との境界が不明瞭であったため,術後の麻痺を危惧して亜全摘摘出に留めた。術後,極軽度の麻痺が生じたが,3か月で完治した。神経鞘腫に対しては被膜外摘出術も施行されるが,術後顔面神経麻痺を引き起こす可能性が高く,術前に麻痺を認めない症例の手術においては,被膜内に腫瘍を摘出して神経温存することが推奨される。
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© 2012 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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