抄録
頭蓋底外科手術は,耳鼻咽喉科,頭頸部外科,形成外科,口腔外科,眼科などとの協力により目覚ましく発展し,脳神経外科医も頭蓋底から外頭蓋底へと治療範囲を広げることができた。頭蓋底に伸展した癌や肉腫などの悪性腫瘍に対しては,各科の協力により一塊切除・再建手術が可能となった。脊索腫や軟骨肉腫などのlow grade悪性腫瘍には,各種アプローチを選択して腫瘍をできる限り全摘出する。髄膜腫や神経鞘腫などの良性腫瘍が外頭蓋底に伸展すると以前は治療困難であったが,頭蓋底外科の進歩により腫瘍制御が可能となった。頭蓋底外科手術の現状を解説する。