大学病院,一般病院では初期研修医,後期研修医は一般耳鼻咽喉科をはじめとして耳鼻咽喉科・頭頸部外科の全領域の研修を行う必要があり,担当する入院患者の原疾患も多岐にわたっている。2011年4月に行われた頭頸部がん専門医制度の各研修施設からの年次報告によると,2010年度の頭頸部がん新患数は大学病院で平均152症例/年(79-367症例),がん専門病院:282症例/年(87-919症例),一般病院:117症例/年(80-179症例)であった。大学病院,一般病院では専門医研修に必要ながんの症例数の集約/確保が大きな課題といえる。
大学病院の指導医からみた本専門医制度の問題/課題として(1)必要な症例の集約/確保,(2)頭頸部がん専門医志願者の勧誘/確保 (3)大学病院における効率の良い研修体制確立 という観点から検討,考察を行った。
頭頸部外科医の育成ならびに勧誘という観点から各指定研修施設のもつ役割および責任は大きい。2012年1月現在,全国で139の指定研修施設が認定されている。頭頸部がん専門医の育成を全国に広げるために,大学医局の枠にとらわれない研修体制(施設間の人事交流の促進)も望まれる。
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