抄録
頸部リンパ節細胞診でパパニコロウ分類に代わる新報告様式の有用性を検討した。6年間に頸部リンパ節生検を施行した88例中,33例が細胞診を施行,十分な質の標本のみに陰性,鑑別困難,陽性疑い,陽性中の1つの判定を与えた。細胞診施行群の病理診断は悪性リンパ腫20,反応性8,結核3,上皮性腫瘍2例(うち悪性1)。細胞診の感度,特異度は55,100%。鑑別困難例はパパニコロウ判定では全例クラスIII,悪性疑い例は全例クラスIVで,新方式はパパニコロウ同等の感度,特異度を有すると考えられた。新方式では鑑別困難というカテゴリー名により,病変が細胞診ではそれ以上の評価が不能であることを臨床医に的確に伝えられる。