抄録
多剤耐性菌の院内感染は,抵抗力の低下した患者への感染を引き起こすのみならず,社会問題となる可能性がある。当科では標準的な予防策の徹底のみならず頭頸部外科特有の問題点に着目し,病棟での処置方法の見直しを2010年1月から行った。対策の有効性を評価するために2007年5月から2011年12月までの当科におけるMethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)の検出率を調査し対策開始前後で比較した。その結果MRSAの検出率は2009年には2.1%であったものが,2011年には0.8%と低下し,対策が有効に機能したことが示唆された。今後より一層の対策や,アルコール抵抗性の菌種での対策法の検討が必要であろう。