抄録
中咽頭扁平上皮癌43例を対象に,全体の治療成績とともに,ヒト乳頭腫ウイルス(以下HPV)感染の有無とその臨床的特徴の違いや生存率について,retrospectiveな検討を行った。43例のうち,ステージIV症例が74%を占め,31%がHPV陽性で,2年粗生存率は77%であった。HPV陽性症例は陰性症例に比べ,有意に進行症例が多く,重複癌が少ない結果であった。2年粗生存率はHPV陽性症例70%に対し,HPV陰性79%と有意差はなかった。今後はHPV関連中咽頭癌症例について,長期の経過観察の後のさらなる検討が必要と思われた。