頭頸部外科
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症例
頸部郭清術後に発症した乳糜漏にオクトレオチドが著効した1例
池田 雅一松塚 崇鈴木 政博西條 聡仲江川 雄太松井 隆道大槻 好史大森 孝一
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2015 年 25 巻 1 号 p. 61-65

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抄録

頸部郭清術後に発症した乳糜漏症例に外科的治療を計画したが,創部感染から敗血症を来たし,全身状態増悪のため外科的治療が困難となった。そこで頸部郭清術後24日目からオクトレオチドを投与した。オクトレオチド投与開始後11日目でリンパ液の排液は停止した。オクトレオチドはソマトスタチンのアナログ製剤である。ソマトスタチンは消化管蠕動運動と消化管ホルモンの分泌を抑制する作用を持つペプチドホルモンである。オクトレオチドは治療効果を早期に判断でき,副作用が少ないため全身状態が悪い症例にも適した治療である。乳糜漏治療における有効な治療法であると考える。

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© 2015 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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