含歯性囊胞はその囊胞壁に埋伏歯を有し,その歯冠を腔内に含む囊胞性疾患である。埋伏歯と囊胞の全摘出が一般的な治療であり,上顎洞への進展例では通常のESSでは操作が及ばないことから犬歯窩アプローチを要することが多かった。今回われわれは上顎洞含歯性囊胞に対して,Endoscopic Modified Medial Maxillectomy(EMMM)の手法を用いて手術を行った2症例を経験したので報告する。本術式は鼻腔側壁に粘膜弁を作成し,下鼻甲介,鼻涙管を含む鼻腔側壁を温存できるのが特徴である。いずれの症例も本術式を用いることで上顎洞内病変を直視鏡で観察することができ,埋伏歯の摘出と囊胞の開窓または全摘出が可能であった。2症例を比較し,文献的考察を加えて報告する。