頭頸部外科
Online ISSN : 1884-474X
Print ISSN : 1349-581X
ISSN-L : 1349-581X
症例
ワルチン腫瘍と唾液腺導管癌が同時性に発生した1例
三橋 泰仁末田 尚之杉山 喜一福崎 勉二村 聡竹下 盛重中川 尚志
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 25 巻 2 号 p. 227-233

詳細
抄録
ワルチン腫瘍の悪性化はまれである。今回われわれは,ワルチン腫瘍の上皮成分が悪性転化し唾液腺導管癌が発生したと推察するまれな1例を経験したので報告する。症例は数年前から右耳下部の腫瘤を自覚していた66歳男性。数か月前から右頸部リンパ節腫脹も加わり,急激な増大傾向を示した。耳下部の腫瘤より施行した穿刺吸引細胞診の結果はClass V(癌)であったため,右耳下腺全摘出,右頸部郭清術を施行した。耳下腺腫瘍は10mm大の境界明瞭な結節で,病理診断は,同一病変内にワルチン腫瘍と唾液腺導管癌を認めた。また,郭清したリンパ節全てに唾液腺導管癌の転移を認めた。術後放射線化学療法を行い,術後12か月でNM再発,20か月でM死という経過をとった。
著者関連情報
© 2015 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top