抄録
ブラジル固有のマメ科植物であるブラジルカンゾウの抽出物の抗炎症作用を検討し, 中国カンゾウ抽出物の作用と比較した。 ブラジルカンゾウ抽出物は lipopolysaccharide で肝炎を誘発したマウスにみられる血中サイトカイン濃度および GOT 活性の上昇を強く抑制し, collagen で誘発したマウス関節炎の症状および骨破壊を軽減し, 関節炎発症に伴う体重減少を抑制した。 また, ウシ myelin basic protein で免疫したラットの脳脊髄炎症状および炎症性細胞浸潤を明らかに抑制した。 これらの炎症抑制効果は中国カンゾウ抽出物では軽度であった。 さらに, 中国カンゾウによる偽アルドステロン症には副腎皮質ホルモンを代謝する 11-ヒドロキシステロイド脱水素酵素の阻害が関与すると考えられているが, ブラジルカンゾウ抽出物の本酵素阻害活性は低く, その IC 50 値は中国カンゾウ抽出物の 3 倍以上であった。 以上の成績から, ブラジルカンゾウは中国カンゾウよりも強力な抗炎症効果を発揮するが, 偽アルドステロン症などの副作用は軽度であると推定される。