2016 年 26 巻 2 号 p. 197-201
甲状腺全摘術直後の副甲状腺機能低下症に対し,ファレカルシトリオールだけで血中カルシウム濃度をコントロールする際の有効性や安全性について前向きに検討した。甲状腺全摘術を施行した20例を対象としたが,解析対象は12例だけとなった。経口カルシウム製剤なしで9例(75%)がコントロール可能であり高い有効性を示したが,高リン血症を10例(83%)に認め,その他の合併症頻度も比較的高かった。年齢や術前のインタクト副甲状腺ホルモン値を予測因子とすることでより安全にコントロールできる可能性はあるが,基本的には個々の症例において検査結果を見ながら適切に用量を調節していく必要がある。