口蓋に発生する腫瘍は,その他の頭頸部領域に生じる腫瘍と比べて発生頻度が比較的少ない。口蓋粘膜には小唾液腺が広く分布しており,口蓋に発生する腫瘍は小唾液腺由来の腫瘍が多く臨床像から良性,悪性の判断をするのが困難な場合も少なくない。また小唾液腺腫瘍における組織型としては大唾液腺に比して悪性腫瘍の比率が高いことが特徴とされる。今回われわれは,昭和大学頭頸部腫瘍センター開設後1年で5例の口蓋腫瘍に対して手術加療を行った。組織型は粘表皮癌が2例,多形腺腫が2例,腺様囊胞癌が1例であった。5例に関して臨床的検討を行ったので文献的考察を加え報告する。