甲状腺の手術には皮弁挙上,層の剥離,血管の処理,神経の剥離など頭頸部外科における基本的手技がすべて含まれる。腫瘍を摘出する,反回神経麻痺等の合併症を起こさないというのは当然のことであるが,基本的な手術であるからこそ修練度の違いにより手術内容に差がでてくる。われわれは従来の手術をより洗練,工夫することで皮膚切開をさらに短くする手術を行っておりそれについて報告する。すべての症例に適応があるわけではなく,術者も限定してはいるものの,皮膚切開が短いほど創部が目立ちにくいのは自明のことであり,基本的な手技は従来の方法と変わらないため創部の綺麗さ,術後の治癒について考えると有意義な手術である。