2016 年 26 巻 2 号 p. 277-281
中咽頭癌に対する経口的低侵襲手術は様々なものが報告されている。しかし前壁癌に対しては,術野の展開や,視野,機器の問題から困難であった。近年われわれはTransoral Videolaryngoscopic Surgery(TOVS)を導入し,今回前壁癌に対して応用したので報告する。症例は69歳男性,食道癌,下咽頭癌の経過観察中に中咽頭前壁,舌根部やや左よりに表在癌を指摘された。生検で扁平上皮癌と診断,T1N0M0舌根部癌に対してTOVSで腫瘍を切除した。FK-WO retractorによる舌根部の術野確保と先端彎曲ハイビジョンビデオスコープにより,腫瘍の安全確実な切除操作が可能であった。