抄録
症例は2歳5か月男児,菜箸の口腔外傷から副咽頭への先端遺残が疑われ紹介となった。軟口蓋に裂創があり,CTにて頭蓋底から環椎右側にかけて含気を有する裂創を認めた。遺残の可能性があると判断して,内視鏡を用い探索したが,異物の同定はできなかった。その後の経過で右副咽頭間隙の小領域にCT値の変化を認めた。ナビゲーションシステムを使用し,受傷後26日目に異物を内視鏡下に摘出することができた。幼小児の体内異物は診断が難しく,特に箸などのX線透過性異物はCTでは同定しづらいが,その経時的変化により確認できることがある。微小な咽頭異物摘出にはナビゲーションシステムの使用が有用であり,考察を含め報告する。