頭頸部外科
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症例
化学放射線療法後に喉頭壊死をきたした下咽頭癌の1例
水成 陽介濱 孝憲西谷 友樹雄結束 寿須田 稔士小島 博己
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2017 年 27 巻 1 号 p. 111-115

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抄録

喉頭壊死症は喉頭の循環障害に起因する稀な病態である。今回,下咽頭癌に対する化学放射線療法後,比較的早期に喉頭壊死症を発症した症例を経験した。症例は58歳男性で,下咽頭癌および食道癌の同時重複癌に対して化学放射線療法を施行するも治療終了3か月後に咽頭痛および下咽頭原発部位に粘膜の壊死性病変が出現した。保存的加療では改善せず,生検では癌の再発の診断に至らなかった。壊死性病変の急速な増悪を認め,頸動脈破綻等の致死的な状況を回避するために救済手術(喉頭摘出)を施行した。本症例では重複癌により放射線照射範囲が広かったことと,原発部位に感染巣を形成したことが早期に喉頭壊死をきたす原因となったと考えられた。

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© 2017 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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