頭頸部外科
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症例
肺腫瘍血栓性微小血管症(PTTM)による呼吸不全のため急激に死の転機をたどった舌下腺腺様囊胞癌症例
林 一樹篠原 尚吾末廣 篤岸本 逸平原田 博之佐藤 悠城上原 慶一郎
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2017 年 27 巻 1 号 p. 117-121

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抄録

PTTM(肺腫瘍血栓性微小血管症:pulmonary tumor thrombotic microangiopathy)は肺動脈の微小腫瘍塞栓により肺高血圧症を来す病態で,急激に呼吸困難を来し,多くは短期間で死亡する。CTにて肺野に異常所見を認めず,肺動脈に血栓や塞栓を認めないので,生前に診断することは困難とされている。今回われわれは換気血流シンチにて疑い,経気管支肺生検で確定診断した,舌下腺腺様囊胞癌に伴うPTTM症例を経験した。抗凝固・化学療法を施行したが,入院25日目に呼吸不全のため死亡された。病理解剖にて多数の末梢肺血管内に微小腫瘍塞栓と内膜線維性肥厚を認め,組織学的にもPTTMと診断した。

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© 2017 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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