抄録
Glomangiopericytomaはsinonasal-type hemangiopericytomaとも呼ばれ,その発生母地はglomus器官由来の筋様細胞とされており,鼻副鼻腔粘膜下に発生する腫瘍である。同部に占める発生頻度は0.5%以下と非常にまれであり,2005年のWHO分類改定により制定された比較的新しい疾患概念である。5年生存率は90%以上と比較的予後良好な腫瘍であるが,その腫瘍径や病理組織像によってaggressive typeに分類されるものが存在する。進行型腫瘍の場合,局所再発や遠隔転移をきたすことがあるため,経過観察には注意を要する。今回われわれは気道閉塞により気管切開を要し,内視鏡下鼻内手術により完全切除が可能であった,まれな小児期発症のaggressive type glomangiopericytomaの1症例を経験したので報告する。