抄録
上咽頭は解剖学的に手術加療が困難であり,化学放射線療法が治療の主体となっている。今回は,2001年1月から2015年12月までの15年間に当科で化学放射線療法(交替療法もしくは化学放射線併用療法)を施行した28例の上咽頭癌症例を対象にretrospectiveに検討を行った。治療効果,治療成績・生存率,治療完遂率,有害事象,予後因子などの項目に対して分析が行われ,交替療法を行った症例では5年粗生存率は62%であり疾患特異的5年生存率は73%であった。今回の検討では上咽頭癌の治療成績に寄与する独立した予後因子は認めなかった。上咽頭癌の治療において,交替療法は良好な生存率を認め,有効な治療法であると思われた。