抄録
頸部壊死性筋膜炎は疎な結合織である浅頸筋膜に沿って急速に感染,壊死が進行する疾患である。症例は50歳男性。当初両側扁桃周囲膿瘍と上頸部の蜂窩織炎と診断し抗菌薬治療を行ったが,レミエール症候群も併発したため第5病日に手術を行い,術中所見から頸部壊死性筋膜炎と診断し,デブリードマンと気管切開を行った。4回の手術,陰圧閉鎖療法,初回術後早期から嚥下・頸部運動リハビリを行った。壊死性筋膜炎の早期診断には,積極的にこの疾患を疑い,壊死を起こした組織を見極め,瘢痕・拘縮が生じる前の術後早期からリハビリを組み合わせることで嚥下障害や頸部運動制限の後遺症を軽減することが重要である。