頭頸部外科
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症例
中咽頭癌に対する化学放射線療法直後にヘルペス脳炎を発症した1例
牛呂 幸司脇坂 仁美
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2018 年 28 巻 1 号 p. 81-85

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抄録
単純ヘルペス脳炎は治療を行っても死亡率が7〜28%と予後不良な疾患である。宿主の免疫能低下により発症し,化学療法や放射線療法による細胞性免疫能の低下が原因となる可能性があるが実際には稀であり,頭頸部癌治療により発症した報告はない。化学放射線治療(CRT)直後にヘルペス脳炎を発症した1例を経験したので報告する。症例は67歳男性,中咽頭癌cT3N0M0。潰瘍性大腸炎に対してプレドニン,インフリキシマブ,アザチオプリン投与中であった。CRT終了後15日目に全身性痙攣と意識障害を来し,頭部MRI所見からヘルペス脳炎を疑い治療を速やかに開始した。痙攣消失後に片麻痺や構音障害も認めた。髄液から単純ヘルペスウイルスDNAが検出され確定診断した。
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© 2018 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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