頭頸部外科
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症例
縦隔気管孔造設術を行った頸部気管腺様囊胞癌症例
松井 祐興岡崎 雅鈴木 豊新川 智佳子荒木 直人
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2019 年 28 巻 3 号 p. 361-368

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抄録
頸部気管癌は稀な疾患である。今回われわれは,喉頭および甲状腺全摘,気管切除後に縦隔気管孔造設を行った頸部気管腺様囊胞癌を経験したので報告する。
症例は69歳女性。画像より甲状腺腫瘍による気道狭窄が疑われ当科紹介となった。来院3日目に気道狭窄のため,気管ステントを留置した。気管ステント留置5日目に,気管閉塞が誘因と考えられる呼吸不全および心虚血による循環不全となった。気管ステントを抜去し,気管内挿管を行い,全身管理を行った。全身状態の回復後に,気管切開を施行した。細胞診では髄様癌疑いであっため,甲状腺髄様癌と診断した。喉頭全摘,甲状腺全摘,頸部郭清術,気管切除,縦隔気管孔造設,左大胸筋皮弁と植皮を用いた再建を行った。最終病理診断は,気管由来の腺様囊胞癌であった。切除断端は陰性であった。現在,術後12か月経過したが,再発なく外来経過観察中である。
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