抄録
石灰化上皮腫は若年者の顔面や上肢などに好発する毛母細胞由来の腫瘍である。従来,皮膚科や形成外科領域の疾患として取り扱われることが多く,耳鼻咽喉科領域の報告は比較的少ないが,まれに再発を繰り返し,悪性化する症例の報告もあるため注意が必要である。症例1は15歳女性。主訴は左耳下部腫瘤であり,穿刺吸引細胞診とCT所見から石灰化上皮腫が疑われた。症例2は13歳男性。主訴は右顎下部腫瘤であり,CT・MRI所見から石灰化上皮腫が疑われた。いずれの症例も全身麻酔下に摘出術を行い,病理組織学的検査で石灰化上皮腫と診断された。