抄録
近年耳下腺腫瘍摘出術において,整容面で優れたFace-Lift approachが頻用されているが,適応には議論の余地がある。今回,名古屋市立大学病院で,Face-Lift approachを用いて耳下腺腫瘍摘出術を行った46例(FL群)と,従来のS字皮膚切開を用いた84例(Co群)で比較検討を行った。患者背景は,FL群では若年者・女性が多い傾向であった。臨床的因子として腫瘍径に有意差は認めなかったが,FL群では深葉腫瘍が少ない傾向であった。手術時間や出血量に有意差は認めなかった。また合併症の発生率に有意差は認めなかったが,FL群では唾液漏が多かった。Face-Lift approachによる耳下腺腫瘍摘出術は従来法と同等の手術を行うことができ,術後の整容面では高い満足度を得ることができた。