抄録
甲状腺乳頭癌は予後良好な疾患とされているが,予後不良な経過をたどる症例も少なからず存在し,腫瘍の被膜外浸潤は予後不良因子のひとつとして知られている。そこで,当科で初回治療を行った甲状腺乳頭癌症例187例のうち,Ex2と診断した29例について検討を行った。Ex2症例はEx0,1症例と比較して,無病生存率が有意に低下していた。また,Ex2症例の中でも,反回神経単独浸潤例には再発例はなかったが,反回神経以外の周囲臓器浸潤例は予後が劣っていた。しかし,甲状腺乳頭癌は比較的予後のよい疾患であり,担癌で長期生存が得られる例も存在するため,機能温存を目指しながら,適切な治療を行うことが重要であると考えられた。