2020 年 30 巻 2 号 p. 209-213
深頸部膿瘍と診断され手術を行った45例を対象に,複数回のドレナージを必要とする指標について後方視的に検討した。再手術なし群(11例),再手術あり群(34例)に分類し,患者背景,来院時の状態,治療内容について,2群間で比較した。
再手術あり群では再手術なし群と比べて,CRPが有意に高値で,深頸部間隙のガス産生像,縦隔炎が多く,培養ではStreptococcus milleri groupが多く検出された。また,再手術あり群では,複数菌感染,内臓間隙膿瘍,咽頭後間隙膿瘍を有している症例が多い傾向にあった。
以上のような特徴をもつ症例では,再手術になる可能性を考慮し,縦隔へ続く間隙(内臓間隙,咽頭後間隙,頸動脈間隙)の予防的な開放や,術後の再悪化時の喉頭浮腫に備えた予防的な気管切開も検討するべきと考えられる。