抄録
混合性髄様濾胞細胞癌は,濾胞上皮性腫瘍と傍濾胞性(C細胞性)腫瘍がひとつの領域に共存する甲状腺の希少癌である。今回,混合リンパ節転移を伴う混合性髄様濾胞細胞癌を経験した。症例は67歳男性,既往歴・家族歴なし。両側甲状腺結節・左頸部と上縦隔に多発リンパ節腫脹があり,穿刺吸引細胞診では診断できなかった。甲状腺全摘術と左頸部郭清術を実施した。左葉結節は混合性髄様濾胞細胞癌,右葉結節は髄様癌,リンパ節は,乳頭癌,髄様癌,混合性髄様濾胞細胞癌の転移があった。PET検査は,病巣の把握に有用であった。サイログロブリン・CEA・カルシトニン値は術後正常化した。手術単独治療で再発無く4年経過中である。