抄録
当科で手術を施行した多形腺腫初回手術25例において手術所見や病理所見から腫瘍細胞播種リスクを検討した。その結果,元々の腫瘍の耳下腺外露出や顔面神経の接触等により20例で腫瘍露出がみられた。被膜欠損や腫瘍細胞の被膜内浸潤,偽足,衛星病変などの被膜病変はclassic typeやmyxoid typeで90%,全体では20例(80%)に認められ,うち15例では腫瘍細胞播種のリスクとなる腫瘍の露出があった。高い腫瘍細胞播種リスクにも拘わらず実際の再発率が低いことは,十分慎重に手術を行えば細胞播種を起こさずに手術ができることを示すものと考えられた。