抄録
下咽頭梨状陥凹瘻は多くが一側性であり,両側例は稀である。今回われわれは両側下咽頭梨状陥凹瘻の1例を経験した。
症例は22歳男性。左頸部痛を主訴に受診し,左頸部膿瘍を認めた。消炎後の嚥下造影およびCT検査より左下咽頭梨状陥凹瘻と診断された。瘻管摘出術の際に,彎曲型喉頭鏡を用いて喉頭展開をしたところ,より広い視野展開が可能となり,左だけでなくこれまでの画像検査で同定できなかった右側の瘻管を確認できた。左側の瘻管のみ外切開による摘出を行い,右側の瘻管は保存的に経過を見ることとした。今後,彎曲型喉頭鏡の使用により,画像検査では同定できない潜在的瘻管の増加が見込まれ,入念な術前のプランニングが求められる。