2020 年 30 巻 3 号 p. 415-419
Carcinoma cuniculatum(CC)は扁平上皮癌の亜型であり,組織学的には層状扁平上皮の増殖と基底層への浸潤がウサギの巣穴様構造(cuniculatum)を示す。臨床的には低悪性だが,骨破壊を伴って局所破壊性に緩徐進行することが多く,上顎や口腔での報告例は世界で50例程度と非常に稀である。
今回われわれが経験した症例は63歳女性で,前医で歯原性角化囊胞(odontogenic keratocyst:OKC)と診断され手術を施行するも,術後に眼窩内進展や鼻骨浸潤を含む広範な再燃を認めたために当科紹介となった。拡大切除を施行したところ,OKC成分を伴った左上顎CCの診断であった。