2021 年 31 巻 1 号 p. 1-6
2013年6月から2019年6月までの6年間に当科で誤嚥防止術を施行し半年以上が経過した筋萎縮性側索硬化症(ALS) 30症例について,術前後での経口摂食状況について検討した。誤嚥防止術は喉頭全摘,気管食道吻合,声門閉鎖+輪状咽頭筋切断のいずれかで行った。喉頭全摘を行った症例において,経口摂取は術前と比較し,術直後,術半年後で有意に改善を認めており,さらに,術前の誤嚥性肺炎の有無は術後の経口摂取に影響を与えなかった。術前の嚥下機能を問わず,経口摂取を強く望む症例に対しては喉頭全摘が最良の治療と考えられた。