頭頸部外科
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最新号
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原著
  • 鈴木 智, 浅井 昌大
    2021 年 31 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    2013年6月から2019年6月までの6年間に当科で誤嚥防止術を施行し半年以上が経過した筋萎縮性側索硬化症(ALS) 30症例について,術前後での経口摂食状況について検討した。誤嚥防止術は喉頭全摘,気管食道吻合,声門閉鎖+輪状咽頭筋切断のいずれかで行った。喉頭全摘を行った症例において,経口摂取は術前と比較し,術直後,術半年後で有意に改善を認めており,さらに,術前の誤嚥性肺炎の有無は術後の経口摂取に影響を与えなかった。術前の嚥下機能を問わず,経口摂取を強く望む症例に対しては喉頭全摘が最良の治療と考えられた。
  • —第4版WHO分類との比較—
    花本 敦, 山根 有希子, 杉本 美香子, 三代 康雄, 愛場 庸雅
    2021 年 31 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    2017年に改訂された第4版WHO分類では従来の甲状腺濾胞型乳頭癌の病理所見に関し,良性と悪性の境界領域の腫瘍として,乳頭癌様核を有する非浸潤性甲状腺濾胞性腫瘍(NIFTP)と悪性度不明の高分化腫瘍(WDT-UMP)が新たに規定された。今回われわれは当科にて甲状腺濾胞型乳頭癌と診断された11症例について再検討を行った。この中で第4版WHO分類においての濾胞型乳頭癌は4症例,NIFTPは5症例,WDT-UMPは2症例であった。術前の超音波検査,CT,穿刺吸引細胞診ではこれらの病理所見の予測は困難であった。将来的には穿刺吸引細胞診の遺伝子検査で術前に病理所見が予測でき個別化治療が行える可能性がある。
  • 新井 啓仁, 光田 順一, 吉村 佳奈子, 佐分利 純代, 大村 学, 辻川 敬裕, 杉山 庸一郎, 平野 滋
    2021 年 31 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    局所進行舌癌の拡大切除,再建術は高侵襲でQOL低下が問題である。われわれは術前化学療法 (NAC) 後の縮小手術による機能温存の可能性を検討してきた。最大径2cm超,DOIが10mm以上の舌癌8例を対象にPCE療法(パクリタキセル,カルボプラチン,セツキシマブ)を施行後に手術を施行し,切除ラインの設定について考察した。MRIで示される腫瘍範囲と病理組織像を検討したところ,NACで腫瘍が断片化した症例では,ADC mapで腫瘍を特定できなかった。また,NAC後のMRI上の進展範囲を指標にすることで,適切な切除範囲の設定が可能で,縮小手術が可能になると考えられた。
  • 前川 文子, 菅野 真史, 高林 哲司, 加藤 幸宣, 堤内 俊喜, 二之宮 貴裕, 成田 憲彦, 藤枝 重治
    2021 年 31 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    内視鏡補助下甲状腺手術(video-assisted neck surgery:VANS)は切開創が前頸部に生じず整容面に優れている。当科では2016年から前胸部外側アプローチのつり上げ式VANS法を導入した。2018年11月までに当科で施行したVANS法による甲状腺片葉切除術35症例と通常の頸部襟状外切開法による甲状腺片葉切除術35症例の臨床データを2群間で比較検討した。VANS群は襟状切開に比し,女性割合が94.3%と有意に女性が多く,平均年齢が47.3歳と若年であった。VANS群は襟状切開群より,最大腫瘍径が小さいものが選択されており,術中出血量は少量だが,手術時間は約80分長く要し,術後ドレーン総排液量も多かった。VANS群の合併症は一過性反回神経麻痺5例,術後出血1例,創感染1例であった。
  • 平田 智也, 石永 一, 中村 哲, 千代延 和貴, 竹内 万彦
    2021 年 31 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    2007年から2017年までに原発不明頸部転移癌が疑われて当科を受診した27例を後方視的に検討した。A群は初回治療開始前に原発巣が判明した5例,B群は初回治療開始後に原発巣が判明した8例,C群は最終的に原発巣が不明だった14例と3群に分類した。原発不明頸部転移癌(B+C群)での3年/5年全生存率は81.8%,原発判明群(B群)で死亡例なし,原発不明群(C群)で71.4%と有意差を認めた。N分類別の3年全生存率は,N1症例で100%,N2症例で84.6%,N3症例で3年生存例なしであった。原発巣検索のために入念な診察と喉頭内視鏡検査が重要で,PET-CTや患側口蓋扁桃摘出術が診断を助けた。予後因子は原発不明群と切除不能例,N3症例だった。
  • 飯沼 智久, 砂金 美紀, 越塚 慶一, 山崎 一樹, 米倉 修二, 花澤 豊行
    2021 年 31 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    近年,検査機器の発達によって咽喉頭部でも表在がんが発見され,手術手技の革新により経口的に切除可能になった。今回,食道表在癌で用いられている拡大内視鏡を中心に,中下咽頭癌に対して後方視的にTransoral Surgery症例を検討した。2016年1月からの3年間で拡大内視鏡診断を確認し得た40症例,45病変について検討した。結果,拡大内視鏡診断におけるB2・B3病変と上皮下浸潤には強い関連を認め,術前の深達度診断として感度・特異度ともに高い結果となった。重度の術後合併症も散見する中で,術前に拡大内視鏡診断を確認できれば切除範囲の広さ・深さや合併症の懸念を持って手術に臨めるのではないかと思われた。
  • 力丸 文秀, 永田 良三郎, 藤 賢史, 檜垣 雄一郎, 益田 宗幸
    2021 年 31 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    当科で治療を行った下歯肉扁平上皮癌症例25例の臨床的検討を行った。当科の治療は根治的切除を主体とし,頸部転移症例や頸部転移を認めなくとも原発巣切除後に遊離皮弁による再建手術が必要な場合は頸部郭清術を行っている。また術後永久標本の所見で切除断端近接や陽性症例,pT4症例,複数のリンパ節転移陽性例やリンパ節の被膜外浸潤陽性症例を術後治療の適応とし術後化学放射線同時併用療法を60Gy施行している。5年粗生存率は全25例で63%,pT2,pT3症例とpT4症例では69%/61%,pN0症例とpN+症例では100%/27%でpN+症例は有意に予後不良であった(p=0.0003)。
  • 力武 諒子, 安藤 瑞生, 吉田 昌史, 吉本 世一, 山岨 達也, 東 尚弘
    2021 年 31 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    日本頭頸部外科学会では2009年より頭頸部がん専門医制度を定めている。今回,院内がん登録を用いて指定/非指定研修施設での頭頸部癌治療の現状を比較検討した。2012-2015年の頭頸部癌94,006症例(705施設)を検討したところ,63.6%が指定研修施設にて治療されており,より標準治療に沿った治療が行われていることが示唆された。部位や地域による差も明らかとなった。また,2009-2013年症例の予後を検討した結果,指定研修施設の全生存率が有意に高かった。治療難易度が高い症例,治療選択の多様性がある症例が指定研修施設に集まっていることが示唆され,専門医制度の目的に沿った現状が構築されつつあると考える。
症例
  • 山根 有希子, 花本 敦, 杉本 美香子, 中村 恵, 三代 康雄, 愛場 庸雅
    2021 年 31 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    われわれはバセドウ病による精神症状の為,早急な手術を必要とした症例を経験したので報告する。
    症例は37歳女性。2年前にバセドウ病と診断され投薬加療されたが,副作用の為自己中断した。2か月前に鬱病と診断され投薬加療されるも,精神症状は増悪した。バセドウ病の治療目的に当院受診。精神症状が強く医療保護入院が必要で,原因はバセドウ精神病と考えられた。早期の甲状腺機能の改善が必要だったが,副作用の為薬物療法が困難だった。その為無期ヨウ素で甲状腺機能を正常化後,速やかに甲状腺全摘術を施行し精神状態は安定した。バセドウ精神病では早期の外科的介入が必要な場合もあり,頭頸部外科医として病態の理解と対応が必要である。
  • 畑山 絵理子, 鈴木 久美子, 與田 幸恵, 上村 哲司, 倉富 勇一郎
    2021 年 31 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌に対する根治治療から6 年後に発症し,大胸筋皮弁を用いた頸部手術で閉鎖できた気管食道瘻の1例を経験したので報告する。症例は59歳男性。下咽頭癌に対して化学放射線療法および咽喉頭全摘術・両側頸部郭清術・遊離空腸再建術を施行し,再発はなかったが,6年後に気管後壁から頸部食道に直径5mmの気管食道瘻を認めた。食道と気管を剥離し,食道欠損部を横縫合し,その上に筋体が食道側と気管側の間に介在するように大胸筋皮弁を置いて気管後壁を再建し,瘻孔を閉鎖した。本症例の気管食道瘻は主に化学放射線療法・根治手術後の血流障害に起因すると考えられ,その閉鎖には血流豊富な大胸筋皮弁が有用であった。
  • 藤井 慶太郎, 岸本 和大, 森田 真吉, 西條 聡, 今井 隆之, 浅田 行紀
    2021 年 31 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    65歳男性。舌癌(T3N0M0)にて舌部分切除ならびに頸部郭清術を施行している。術後11日目より創部から浸出液の流出を自覚,術後13日目に発熱あり,咽頭痛・胸痛を伴ってきたため術後14日目に受診。短時間のうちに急激に全身状態の悪化を認め,敗血症性ショックとして治療介入を行ったが,救命しえず,来院後24時間で死亡した。後日,頸部浸出液からの細菌培養にてStreptococcus pyogenesが検出され,劇症型溶血性連鎖球菌感染症(STSS)と診断した。分離菌の血清型はM12型であり,保有する発熱毒素遺伝子はspeBspeF陽性であった。STSSは急激にショック状態に陥るため救命困難なケースも多い。頭頸部領域においてはまれな疾患ではあるが,鑑別のひとつとして考慮に入れて診療にあたる必要がある。
  • 富永 健裕, 羽生 昇, 利國 桂太郎, 石川 直明
    2021 年 31 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    歯原性粘液腫は顎骨に発生する比較的まれな良性腫瘍である。顔面の変形や複視をきたすため手術が第一選択とされるが,周囲組織を含めて切除するか腫瘍摘出と掻爬に止めるかは意見が分かれる。症例は40代女性,右頰部違和感,鼻閉を主訴に来院,CT,MRI検査で右上顎洞内に44mm大の腫瘍を認めた。局所麻酔下に経下鼻道で上顎洞内から生検し,歯原性粘液腫と診断された。治療は,endoscopic modified medial maxillectomyでの腫瘍の切除および抜歯を行い,掻爬を行った。一期的に手術と抜歯を行ったことで,抜歯窩と鼻腔双方からのアプローチが可能となり,良好な視野で掻爬することができた。
  • 岡上 雄介, 児嶋 剛, 大槻 周也, 長谷部 孝毅, 山本 浩孝, 柚木 稜平, 庄司 和彦, 堀 龍介
    2021 年 31 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    中耳腺腫は非特異的な臨床所見を呈する稀な疾患であり,鑑別が難しい。組織検査にて確定診断が得られるが,中耳カルチノイドとは組織学的にも区別が難しく,類義疾患とされている。今回われわれは術前にグロムス腫瘍を疑って手術を行い,術後に中耳腺腫と診断された1例を経験したので文献的考察を加え報告する。症例は67歳女性。右難聴,拍動性耳鳴を主訴に鼓室内腫瘤が疑われ当科を紹介受診した。鼓膜から透見される赤色拍動性腫瘤を認めた。CT,MRIにて鼓室内に強い造影効果を呈する腫瘤を認め,グロムス腫瘍が疑われた。手術前日に血管塞栓術を行い,腫瘍を摘出した。術後病理検査で中耳腺腫と診断された。現在再発なく経過観察中である。
  • 今野 信宏
    2021 年 31 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性。維持透析中,右頸部リンパ節腫脹を主訴に生検予定であったが,右口蓋扁桃に腫瘍性病変を認めた。DWIBS施行したところ,中咽頭癌の頸部リンパ節転移を疑う像であった。口蓋扁桃生検の結果は扁平上皮癌でp16陽性であった。中咽頭癌(T2N1M0)で根治的放射線療法施行した。治療後1年経過し再発を認めず経過良好である。DWIBSは,入院精査のため医療経済的にも優れておりPET-CTと比べて遜色ない検査法であった。また,造影剤や放射線被爆がなく,糖尿病の影響も受けず,負担の少ない検査法であった。
  • 岡崎 雅, 野田 大介, 千田 邦明, 荒木 直人, 金子 昌行, 鎌田 恭平, 欠畑 誠治
    2021 年 31 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    涙囊原発悪性腫瘍は比較的稀であり,流涙や涙囊部腫脹といった慢性涙囊炎症状で初発することが多いとされる。病理組織型は扁平上皮癌,腺癌,腺様囊胞癌や悪性リンパ腫と多彩である。涙囊原発癌を2症例(腺癌と扁平上皮癌)経験したので報告する。2例とも涙囊炎症状で初発した。眼窩内容摘出を含む外科的切除を行い,腺癌症例は術後2年で局所再発を来たし,化学放射線治療後現在非担癌生存中である。扁平上皮癌症例は術後病理で断端陽性であり,術後化学放射線治療を行い非担癌生存中である。治療に際しては切除を基本とし,組織型や進展範囲に応じた集学的なアプローチを考慮する必要がある。
  • 石原 宏政, 久世 文也, 大橋 敏充, 西堀 丈純, 青木 光広
    2021 年 31 巻 1 号 p. 97-103
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    血管肉腫は軟部肉腫の2%を占める稀な軟部悪性腫瘍である。
    頭頸部における血管肉腫の報告の多くは頭部の皮膚原発で,中咽頭の発症は極めて稀である。今回初診時より多発遠隔転移を認めた中咽頭血管肉腫の1例を経験した。
    血管肉腫の予後は非常に不良である。特に遠隔転移を伴うものでは生存期間中央値も3か月程度と報告され,エビデンスを伴った明確な治療方針はない。
    本症例においてはパクリタキセルの投与により中咽頭病変は消退した。遠隔病変も縮小していたが,新規遠隔病変出現,増大を認めたため,パゾパニブに変更した。パクリタキセルの無増悪生存期間は6か月,全生存期間は17か月であった。文献的考察も踏まえ症例報告する。
  • 高岡 美渚季, 田山 二朗, 矢部 はる奈
    2021 年 31 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    27歳女性。頸部外傷による長期挿管後,気管切開された。輪状軟骨は両側で骨折し,輪状甲状関節も両側で脱臼し甲状軟骨は後方へ偏位していた。声帯前方は癒着し,声帯突起から披裂間部に声門間隙を認め,両側声帯の可動制限を認めた。気管孔閉鎖の希望があり,狭窄部位の評価と治療方針の検討目的に直達喉頭鏡下に観察を行った。声帯前方は癒着し,声門から声門下に瘢痕組織を認めた。輪状披裂関節の固着や後連合の瘢痕化はなく,喉頭截開術により瘢痕組織を除去すれば声帯の可動性が改善し,声門が拡大すると考えた。喉頭截開術を行い瘢痕を除去し喉頭皮膚瘻を形成した。声門は開大し,半年後に喉頭皮膚瘻を閉鎖した。気管孔閉鎖も予定している。
  • 吉田 祥徳, 古川 孝俊, 伊藤 吏, 阿部 靖弘, 窪田 俊憲, 鈴木 祐輔, 松井 祐興, 八鍬 修一, 欠畑 誠治
    2021 年 31 巻 1 号 p. 111-115
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/27
    ジャーナル フリー
    先天性鼓膜真珠腫は極めて稀な病態であり,報告数は多くない。今回われわれは11歳男児の左鼓膜真珠腫に対し,内視鏡下に摘出術を行い良好な経過を得た。鼓膜真珠腫の成因は中耳炎既往の有無で異なると考えられており,中耳炎既往のある例では炎症により鼓膜皮膚層の基底細胞が増殖することにより生じ,中耳炎既往のない例では胎生期の扁平上皮迷入により生じるという説が有力である。真珠腫が鼓室内進展し耳小骨を破壊することが報告されており,原則手術加療が望ましいと考えられる。内視鏡を用いて剥離層を明視下におき,鼓膜中間層を温存し真珠腫を摘出する方法が今回有用であった。
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