頭頸部外科
Online ISSN : 1884-474X
Print ISSN : 1349-581X
ISSN-L : 1349-581X
症例
精神症状が著明に回復したバセドウ病手術症例
山根 有希子花本 敦杉本 美香子中村 恵三代 康雄愛場 庸雅
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 31 巻 1 号 p. 51-55

詳細
抄録

われわれはバセドウ病による精神症状の為,早急な手術を必要とした症例を経験したので報告する。
症例は37歳女性。2年前にバセドウ病と診断され投薬加療されたが,副作用の為自己中断した。2か月前に鬱病と診断され投薬加療されるも,精神症状は増悪した。バセドウ病の治療目的に当院受診。精神症状が強く医療保護入院が必要で,原因はバセドウ精神病と考えられた。早期の甲状腺機能の改善が必要だったが,副作用の為薬物療法が困難だった。その為無期ヨウ素で甲状腺機能を正常化後,速やかに甲状腺全摘術を施行し精神状態は安定した。バセドウ精神病では早期の外科的介入が必要な場合もあり,頭頸部外科医として病態の理解と対応が必要である。

著者関連情報
© 2021 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top