頭頸部外科
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症例
篩骨洞放線菌症の1例
三ッ井 瑞季松見 文晶室野 重之
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2021 年 31 巻 2 号 p. 203-207

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抄録

放線菌症は口腔内常在菌であるActinomyces属によって引き起こされ,頭頸部に好発するが,副鼻腔放線菌症の報告は少ない。今回われわれは稀な篩骨洞放線菌症の1例を経験したので報告する。症例は81歳女性。主訴は右鼻閉と鼻漏。臨床経過と画像所見から副鼻腔真菌症を疑い,内視鏡下副鼻腔手術を施行した。特徴的病理所見から副鼻腔放線菌症と診断した。術後はアモキシシリンを8週間投与し,13か月の経過観察を行い再燃は認めなかった。放線菌症ではペニシリンの高用量,長期投与が推奨されるが,副鼻腔放線菌症においては,外科的治療が有効で,病変切除の程度に応じて抗菌薬治療は短縮できると考えられた。

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