2021 年 31 巻 3 号 p. 267-272
頭頸部癌における化学放射線療法(CRT)の晩期障害が近年明らかとなっているが,放射線性壊死は頻度が低いことや治療抵抗性であることから対応に難渋することも経験される。今回われわれは中咽頭癌に対するCRT後に咽頭粘膜壊死をきたした稀な1例を経験したため報告する。
症例は48歳男性。p16陽性中咽頭癌(T1N1M0)に対してCRTを施行した。治療後に咽頭粘膜壊死をきたし,CRT後6か月に入院にて放射線性喉頭壊死に準じた集学的な治療を行い治癒に至った。
咽頭粘膜壊死は稀な晩期障害ではあるが,重篤な合併症回避のためにも適切な治療対応が必要な疾患として十分に認識すべきであると考えられた。