2022 年 31 巻 3 号 p. 247-252
頸部食道進展のある下咽頭後壁進行癌に対し,喉頭温存して完全切除するために経口的手術と外切開手術を併用する術式を施行した類基底細胞様扁平上皮癌(BSCC)の1症例を報告する。症例は65歳,女性。術前に全身麻酔下の観察で喉頭に進展がないことと頸部食道に進展していることを確認した。経口的に口側端を切離した後に外切開手術で病変の摘出と郭清および再建を施行した。喉頭挙上術にて嚥下機能保持策を講じたが,術後に誤嚥性肺炎を反復した。1,200kcal/日程度を3食で摂取できる状態となり術後8週目に退院した。発声に問題なく,術後2年11か月現在,再発転移を認めていない。