2022 年 32 巻 1 号 p. 73-78
Clear cell carcinomaは小唾液腺より発生する稀な低悪性度癌である。今回われわれは舌根より発生したclear cell carcinomaの1例を経験したのでこれを報告する。症例は64歳男性で,舌根に17mmの隆起性病変を認め,生検でclear cell carcinomaが疑われた。腫瘍が限局しておりリンパ節転移を認めなかったことから,舌正中離断法による腫瘍切除を行った。術後,腫瘍細胞の遺伝子検査でEWSR1-ATF1融合遺伝子が検出されたことで確定診断に至った。現在術後9か月経過しているが,再発転移を認めていない。審美性も保たれ,嚥下障害や構音障害などの機能障害も残らなかった。