2022 年 32 巻 1 号 p. 85-89
後天性後鼻孔閉鎖症に対して内視鏡下鼻内手術を行った1例を経験したので,報告する。症例は78歳女性で,鼻閉を主訴に当院受診した。鼻内内視鏡検査および頸部CT画像検査所見で後鼻孔の膜性閉鎖を認めた。成人期より症状が生じており,梅毒感染症の既往歴があることから梅毒を契機とした後天性後鼻孔閉鎖症と考え,内視鏡下鼻内手術を行った。術後再狭窄を認め,12か月後に再度内視鏡下手術を行ったが,再狭窄予防にステント留置と下鼻甲介粘膜移植を行った。ステントを留置していたが,作成した後鼻孔はステント径より大きく,下鼻甲介粘膜移植により開存が維持できているものと考え抜去した。13か月の時点で後鼻孔は再々狭窄なく経過しており,下鼻甲介粘膜移植が狭窄予防に有効であったと考えられた。