2021 年 32 巻 1 号 p. 91-95
新型コロナウイルス陽性患者(COVID-19)に対する気管切開術を2症例経験した。症例1は80代男性。長期間の気管挿管管理が必要となり,N95マスクを使用したFull PPEにて気管切開を施行した。症例2は60代男性。1例目の気管切開では視野の確保が困難であった点を踏まえて,電動ファン付き呼吸⽤防護具(PAPR:powered air-purifying respirator)下で外科的気管切開を行った。PAPRを用いることで,Full PPEで外科的気管切開を行う上での視野確保における問題点を解決できており,安全な感染制御下での外科的気管切開に有用と考えられた。