頭頸部外科
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症例
口蓋扁桃に転移した肝細胞癌の1例
丸山 祐樹徳留 卓俊油井 健史嶋根 俊和
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2022 年 32 巻 2 号 p. 179-184

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抄録

日常診療において口蓋扁桃に発生する悪性腫瘍のほとんどが原発性腫瘍であり転移性腫瘍はまれである。今回われわれは,口蓋扁桃に転移した肝細胞癌の1例を経験した。症例は80歳男性。口腔内からの持続する出血を主訴に来院した。初診時右口蓋扁桃に白苔が付着した腫瘍性病変を認めた。確定診断目的に右口蓋扁桃摘出術を施行したところ,病理組織学的所見で異型細胞が索状構造を呈しており,肝細胞癌の転移が疑われた。原発精査目的でFDG-PET-CT検査を施行し肝左葉に集積を認め,消化器外科で肝部分切除術を施行したところ,肝細胞癌(pT2N0M1)と診断された。現在,口蓋扁桃以外に明らかな転移がないため経過観察中である。

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