症例は26歳男性,前頸部腫脹を自覚し初診。MRIでflow voidを認め動静脈奇形(AVM)が疑われた。病変は甲状腺左葉から頭側に進展,喉頭内に進入し上喉頭動脈と連続していた。手術2日前に血管造影・動脈塞栓術を施行,病変は上,下甲状腺動脈,上喉頭動脈により栄養されていたが,手術時の出血リスクを減少させるため下甲状腺動脈のみを塞栓した。その他の流入血管を結紮後,甲状腺左葉を含むAVM摘出術を施行した。甲状軟骨板の一部を一旦切除し,喉頭内に進展する病変を追跡,摘出した。下喉頭神経は神経刺激装置で手術終了時まで反応を確認し温存した。術直後は一時的な声帯固定を認めたが,手術4か月後に声帯の可動性は回復した。